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スマート農業推進協会からのお知らせ

スマート農業オンライン講座ー農業の収穫ロボットを開発ー AGRIST株式会社高橋慶彦

2020年5月7日(木)18:00~19:00 に、「新しい市場を創るスマート農業talk」をYoutubeでオンライン配信を限定公開で開催しました。ゲスト講師は、ARGIST株式会社 取締役COOの高橋慶彦氏を迎えし、スマート農業の必要性と今後の描く未来についての話をしました。

農業の収穫ロボットを開発

AGRIST株式会社は、人口1万7000人の宮崎県新富町に設立し、農業課題である「人手不足」を解決するために、農家さんの声を直接聞きながらPDCAを高速で回し、農業ロボットを開発。

高橋氏によると、農家の声として多いのが、「ロボットが不可欠だが使えるものがない」や「従来の農機具は多機能で高く、もっとシンプルなものが欲しい」という声だ。

現在開発中の収穫ロボットについて、高橋氏は「今までにない収穫ロボット」と話している。特徴として、「吊り下げ式(PCT国際特許申請中)」。

従来の収穫ロボットは地面が凸凹で走行に影響が受けやすく安定しないという問題点があり、その問題を解決するために現在の収穫ロボットが考えられた。このロボットを活用し、「収穫量20%UP」や「病気の早期発見」を目指す。

ビジネスモデルとしては、導入費用が150万円(税別)で3年間のメンテナンス費込み。手数料としてロボット収穫売上の10%を支払うモデル。

農業の転換期である現在。地方の課題を解決することを通して世界の農業課題を解決するをミッションに、AGRISTは活動を行っている。今後の展開として、JXTGグループと協業し、再生可能エネルギーと農業を組み合わせることで、太陽光発電を備えたビニールハウスの開発を海外展開を視野に行っていく。

最後に、高橋氏は「農業という産業を持続可能にすることで、地域が元気になり、持続可能なまちづくりに貢献したい」と話した。

質疑応答

髙橋氏の活動紹介の後、視聴者からも質問をもらい講演の内容を深く話を聞いていきました。スマート農業はテクノロジーだけで推進できるものではなく、農家さんとのコミュニケーションが重要ということがわかりました。

 

稲田:なぜ、印刷業界から農業へ活動の軸を移したのですか?

高橋:農業に関わっていけたら良いという想いがある中で仕事をしていた時に、共同創業者に誘われました。ただ、最初は即答しませんでした。自分がプロジェクトにジョインすることで何ができるのかを考えました。

そこで、強いチームづくりとこれまで行ってきた地域の魅力を発信することにつながると腑に落ち、関わっていく決断をした。なぜやるのかという部分の根幹は変わっていない。持続可能な地域の実現を目指しています。

 

視聴者:なぜ、ロボットを導入すると利益が出るの?

高橋:理由は2つある。1つ目は、収穫する人が減っているため、作物が実っているのに、人手が足りないから収穫できない。労働力さえあれば、収穫量はまだ増やせる。

2つ目は、利益になるサイズで収穫できていない。消費者の手元に出回るのは「M玉」というサイズのもので、成長しすぎてL玉になったものは単価が下がります。したがって、M玉の時に収穫できる量が増えることで収益性が高まることになる。

 

稲田:収穫時の人手不足の課題に対して、労働力の共有サービスでなく、ロボットなのか?

高橋:農家から「圧倒的に人手が足りなく労働力の共有だけでは間に合わない」という声がある。私たちが一緒にやっている農家さんは、先駆的で規模拡大を考えている農家さんが多い。今の時点で、人を確保するのが困難なのに、規模拡大をした際に労働力の共有だけでは間に合わないという意見からロボットを開発した。

 

稲田:自給自足している人もいる中で、なぜ農業は儲からないといけないと考えていますか?

高橋:ライフスタイルの一部として農業を行うことはもちろん素晴らしいことで、否定しているわけではない。ただ、日本における農業という産業を見た時に確実に農業人口は減っていき、国としての生産力は下がっていく。さらに、今のままでは農家が経営状況を維持することはかなり難しい。

ただでさえ人件費は近年上がっている中で、規模を拡大できず収益性も下がるとなれば、農業が産業として持続可能で無くなる可能性がある。だから、高い視座で規模を拡大して、農業を持続可能な産業としていく人たちの力になりたいと思い、収穫ロボットを開発している。

 

稲田:高橋さんの話の中でよく言葉にしている「持続可能」とは何ですか?

高橋:莫大な儲けが出ているという状態よりも、しっかりと利益が出て次世代に投資できている状態。なぜ、利益が必要かというと、2つある。1つ目は、現在の新型コロナ感染拡大のような有事の際でも、経営を継続するために蓄えが必要であること。

2つ目は、次世代の人たちへ産業として受け継ぐため。何より、シンプルに農家さんが元気であると、その地域が元気になると信じている。農業を含む一次産業は、日本の地方において産業と文化の根幹。

 

稲田:なぜ、AGRIST株式会社は社会的企業なのか?

高橋:私たちは、社会をより良くするために、ビジネスという手法を用いている。そして最近強く実感しているのは、この事業を通して様々な人から応援をいただいているということ。単なる1企業というのではなく、社会全体の一部のだということ。農家さん、エンジニア、投資家、地域の銀行、行政、農協など多方面から応援・支援をいただいている。設立して半年も経っていない、名も無い企業に応援をいただいている。

改めて、なぜなのかと考えると、理由は2つあると思っている。1つ目は、農家と共に当事者として現場の課題と向き合っている。2つ目は、世界の農業課題を解決するという大きいビジョンを描き、一つの企業ではできないから、多くの関係者へ協力を求めて、それぞれの叡智を集めて具体的な行動に落とし込んでいるから。

単に儲けたいからでは、誰も力を貸さない。地域のために、世界のために、社会のためにという大きいビジョンを持っているから、私たちはたくさんの応援をいただけているのです。多くの人たちの力を合わせて、農業課題を解決し、社会をより良くしていく存在を目指しています。

 

稲田:スマート農業の未来や可能性について教えてください。

高橋:今までの農業における開発課題は、エンジニアが現場ではなくオフィスで開発した結果、値段や性能を含めて、現場で使えるレベルに至らなかったこと。どんな優秀なエンジニアもオフィスの中では、現場に即した開発はできない。スマート農業で大事なことは、サービスの売上ではなく、テクノロジーを社会実装して農業を持続可能にできるかということ。

これから必要なことは、どれだけ現場に足を運んで農家さんとサービス・製品に対して意見交換し、改善・アップデートできるか。日本で今起きている、低賃金の肉体労働に関して人手不足が起きるという課題は、いずれ世界が直面する課題。この未来に起きる世界の農業課題を解決することは、日本が世界に提供できる価値になる。

 

稲田:最後に、今後一緒に仕事していきたい人を教えてください。

高橋:心の底から社会の課題や農業の課題を解決したいと思う人。課題を解決することは大変だけど、辛いことではなくて、むしろワクワクすること。特に今は、組み込み系のエンジニア人財を欲しています。ハード開発やデータサイエンスの人財も必要だが、組み込み・制御のエンジニアが最も必要です。

これから、ロボットを農場で稼働する。収穫作業の精度を向上させ、現場で本当に使えるロボットを農家へ提供するために、ぜひ力を貸してもらいたい。

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