【会員企業紹介】ENEOSホールディングス:未来へ向けた世界の発展は、 産業の垣根を越えた融合にあり
スマート農業推進協会 会員レポート
■JXTGホールディングス株式会社 未来事業推進部 関 悠一郎氏
■JXTGホールディングス株式会社
JXTGグループは2017年4月、JXグループと東燃ゼネラルグループの経営統合により誕生。持ち株会社であるJXTGホールディングスのもと、ENEOSブランドを展開するエネルギー事業(ガソリン販売シェア国内50%)をはじめとして、金属事業や石油・天然ガス開発事業など、3つの事業会社を配置している。2019年に新しく創設された「未来事業推進部」では、街づくり・モビリティー/低炭素・循環型社会/データサイエンス・革新的先端技術の3つの領域を軸として新規事業創出に取り組んでいる。
Q.まず、「低炭素・循環型社会」への取り組みを教えてください。
私が所属する未来事業推進部の注力する領域の1つが「低炭素・循環型社会」です。再生可能エネルギーの利用やプラスチックなどのリサイクルを可能にすることで化石燃料の使用(≒CO2の排出)を減らし、持続可能な社会づくりを、新規事業創出を通して目指しています。
日本国内の年間CO2排出量は約12億トン。うち、エネルギーを扱う弊社の事業活動で排出しているCO2量は3000万トン、ガソリンなど顧客排出分まで含めると2.5億トン。それは国内排出量の約20%に相当します。低炭素社会の実現に関してはかなり強い責任と使命感を感じて取り組んでいます。

JXTGグループの環境負荷全体像
具体的な再生可能エネルギー利用促進の取り組みの一つに、「営農型太陽光発電システム」があります。圃場の上にソーラーパネルを設置し、その下で農家さんが作物を作ることができるシステムで、1つの土地で太陽の光を発電と農業の両方に利用するため、ソーラーシェアリングとも呼ばれています。従来の太陽光発電とは異なり、農業と関連があることが大きな特徴であり新しい点です。
またリサイクルの観点からは、従来は熱回収など、部分的なリサイクルにとどまってしまっているプラスチックに対して、完全にケミカルリサイクルできるシステム構築にもチャレンジしています。これは我々が既存事業でプラスチックの原料製造工程を有するからこそできることです。
もちろん既存事業での低炭素化は重点的に取り組んでおり、既存事業の改善と新規事業の導入という両輪で、低炭素・循環型社会の実現に向けて取り組んでいるところです。

営農型太陽光発電システム導入の一例
Q.低炭素・循環型社会では、私たちの生活はどうなりますか?
今と変わりません。変えないための取り組みです。
環境問題により私たちが悪影響を受けたり、環境問題解決のための施策の一方で誰かがそのしわ寄せを受けたりすることなく、未来永劫今までと変わらない活動ができる状態が低炭素・循環型社会だと思います。
Q.スマート農業推進協会へ加入し、目指すことは?
これからの持続可能な社会づくりにおいて、必要なのは「産業の垣根を超えた融合」だと考えます。これまでのような縦割り状態では産業は衰退し、環境問題も解決へと進みません。我々が扱っているエネルギー産業でも、例えば農業のように、エネルギー以外の産業といかに融合できるかが発展の鍵です。
同協会は新富町やこゆ財団が中心にあることで、農業に限らずあらゆる産業や案件、人までもが垣根を超えて集まってきています。これは大きな特長で、私たちはそこに大きな可能性を感じています。
すでに私たちは営農型太陽光発電と、同協会会員であるAGRISTさんの自動収穫ロボットとの融合を期待して、2020年3月に出資・協業をスタートしました。そんな新しいつながりや融合が生まれ、問題解決へと互いに発展していけたらと思います。
Q.スマート農業や低炭素・循環型社会の先にあるものは?
「地球の寿命まで持続可能な社会」です!