【会員企業紹介】リデン株式会社:情報や資材価格の地域格差を解消。 農家経営に役立つプラットフォームを共創する
スマート農業推進協会 会員リポート
■上原 郁磨 氏(リデン株式会社 代表取締役)
■リデン株式会社(東京都)
大手ICTサービス&クラウドコンサル事業者であるSBテクノロジー株式会社の子会社。インターネットを利用した農地情報の利活用、農地の斡旋および付帯業務を行うほか、農業ICTサービスとして、IoTや機械学習(AI)による付加価値・農業ノウハウを提供している。同社が運営する農業資材マッチングサイト「AGUMIRU(アグミル)」は、農林水産省が提供する農業者のための「見える化」ウェブサイト『まるみえアグリ』としてスタート。
農業課題の解決に他企業と共創
Q.農林水産省の農業競争力強化プログラムの一つとして、2017年夏にスタートした御社の農業資材マッチングサイト「AGUMIRU(アグミル)」が採用されていますね。
農林水産省は、農業資材や農産物流通、農業研究などに関して、農業関係者が簡単に情報を入手・選択できるようにウェブサイトをまとめたポータルサイト・農林水産『見える化』シリーズ“まるみえアグリ”を開設しています。その中で、弊社のAGUMIRU(アグミル)は情報や価格の地域格差をなくし、農家さんが経営をしやすくするためのプラットフォームアプリとして紹介されています。
Q.AGUMIRUでは、実際にどんなことができるのですか?
AGUMIRUには農林水産省から発信される政府情報や、マイナビ農業等、農業関連ニュースが日々配信されます。肥料や農薬などの資材購入の際には全国規模での共同購入や、農家さんから複数の資材店やメーカーに一括で見積もり依頼ができますし、相談や交渉をしたうえで資材を購入することもできます。
また、コミュニティコーナーでその分野のプロ農家さんに直接相談ができたり、補助金の取得相談など幅広く相談できるので、農家さんの情報収集や経営にかける時間とコストが大幅に下がり、収益アップにつながります。
Q.大変画期的なシステムですね。同様のサービスを行う競合会社はあるのですか?
私たちは競合する、という発想をせず、いろんなアグリテック企業と新しい農業のカタチを「共創」しています。AGUMIRUに登録すれば、さまざまな企業のサービスを手軽に利用することができます。
日本の肥料価格は海外の2倍。農家の実益につながるサービスを
Q.そもそもAGUMIRUを立ち上げたきっかけは何だったのですか?
過去に「日本の肥料価格は海外の2倍もする。改善すべき」と話題が上がりました。私たちは普段インターネットで価格や納期を比較したり、レビューをチェックしたりして買い物しているのに、農業は地元企業の営業マン頼みの部分が大きいですよね。
Q.農業のどんな課題を解決しようとしたのですか?
資材価格の地域格差や情報の格差、言い換えると農家さんの選択肢が限りなく少ないと感じています。日々とても忙しいので生産中心で経営面に注力できなかった農家さんも、多くいらっしゃるかと思います。今後は生産効率を上げ、経営に目を向けていく必要があると思います。
Q.他業種から農業の課題解決に踏み出した訳は?
産業の境界はもはやないものと考えます。それよりも課題を中心に、未来がどうあるべきかという目線で考えることが重要です。他業種である私たちの方が、これまでタブーとされてきたことに挑戦しやすいとも言えますね。
使い手のフィードバックからサービスをチューニングする
Q.いろんな企業サービスが随時追加されているようですが、農家さんの意見も反映されるのですか?
私たちは北海道に実証圃場をお借りしていて、そこで現場の意見やフィードバックをもらっています。つくったものを一度世に出し反響を見て、サービスをチューニングしていく必要がありますからね。
Q.新富町やこゆ財団も、その役割を担えそうですね。
はい、新富町は農業の現場と近く、PDCAが回しやすい好環境。農家さんに弊社のサービスを使ってもらってご意見を伺いたいですね。
Q.今後、農業の世界がどうなることを期待していますか?
私たちはモチベーション高く開発に取り組んでいますが、それは農家さんが本当に欲しているものになっているか、気になるところでもあります。改めて、利用者のバリューの把握や今抱えている問題、これから抱えるであろう問題に目を向けるべきだと考えています。持続可能な農業には、農家さんの「時間の使い方」が重要なポイント。一度弊社のサービスに触れていただき、農家さんが変わっていくきっかけになれたらと思っています。